メトロミューがやさしく奏でる宇宙②カバー曲編
今回はメトロミューのカバー曲の魅力について語ります。
前回の記事はこちら。
前回はメトロミューのオリジナル曲について「宇宙」、「まどろむ」という謎指標で紹介したが、同じ指標を使ってカバー曲もおすすめしていきたい。
ところで、カバー曲の魅力とはなんだろうか。
一般的には、原曲の持ち味を十分に残しつつ新たなオリジナリティを加えることが評価されているが、メトロミューのカバーはどちらかというと完全に別の曲になっており、独自の世界線を創造しているといってよい。しかしその営みは原曲を損なうことなく、リスペクトを濃厚に漂わせた新しい宇宙を切り開くものであり、原曲とメトロミュー双方の魅力が溶け合って互いにぶつからず引き立っている。
改めて聴き比べてみると、どの曲も夜の暗闇や気だるさ、まどろみといったイメージが共通しているように感じ、メトロミューの世界へうまく引き込むために注意深くカバー曲を選定したことが窺える。実際、知らずに聞けばオリジナル曲と勘違いしてしまうほどメトロミューのカバーは完成度が高く、アルバムに入っても全く違和感はないだろう。
そして、カバー曲は現在10曲を配信しておりオリジナルの7曲よりも多い。メトロミューの魅力を語るには、カバーについても触れなければ片手落ちになってしまうのである。
全てのカバー曲を紹介したいところではあるが、私自身が原曲を聞いたことがあり、且つどちらの曲も大好きなものに限って紹介していこうと思う。
1.「ムーンライト伝説」(2020年12月4日配信)
原曲:アニメ「美少女戦士セーラームーン」のオープニングテーマとして余りにも有名な一曲。
リリース:1992年3月21日
歌:DALI(ダリ)
作詞:小田佳奈子
作曲:小諸鉄矢
宇宙:★★★★★
まどろむ:★★★☆☆
とにかくメトロミューにぴったりの歌であり、宇宙っぽいアレンジが見事な一曲。「幾千万の星からあなたを見つけられる」、「現在・過去・未来もあなたに首ったけ」といった歌詞は少女の感傷的なポエムだったのかもしれないが、案外SFの想像力に現代は接近している。宇宙では星占いも旅の道標である。遠い星へと願う恋は、孤独な船内で一層切なく燃え上がっていく。
2.「God knows…」(2021年2月16日配信)
原曲:アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の挿入歌として余りにも有名な一曲。
リリース:2006年6月21日
歌:平野綾
作詞:畑亜貴
作曲:神前暁
宇宙:★★★★☆
まどろむ:★★★★☆
はじめからメトロミューの歌だったのではないかと錯覚するような素晴らしいカバーである。ハルヒが歌ったシャウトはメトロミューの静かな祈りへとアレンジされ、運命に抗い傷つきながら闘うのではなく、未来を安らかに受け入れる穏やかな心境は美しい。
3.「アンチグラビティーズ」(2021年8月6日配信)
原曲:sasakure.UKの3rdアルバム『トンデモ未来空奏図』の一曲。
リリース:2013年5月29日
歌:feat. GUMI
作詞:sasakure.UK
作曲:sasakure.UK
宇宙:★★★★☆
まどろむ:★★★★☆
「重力」というつまらない日常に縛られた世界を変えたい、ならば変えてしまおう。狭苦しい学校や日常生活からの脱出を軽やかに歌った一曲。原曲は走り出すような素早いメロディーだったが、メトロミューの巧みなアレンジではどこか神秘的な響きに包まれた曲となっている。
カバー曲の一覧はこちら。
- FLY ME TO THE MOON
- リライト
- 水星
- どうしよう
- ムーンライト伝説
- 今夜はブギー・バック
- ラビリンス
- God knows…
- Prayer X
- アンチグラビティーズ