ざっかけないマンガたち

ちょっと変わったマンガを紹介します。

「噂の現場」が書籍化されてたのでひっそりとレビュー

老害老害と批判されながらお茶の間のご老人には圧倒的支持を得ていた「噂の! 東京マガジン」が地上波での放映を終えBSへ移行すると知り、私はどこか懐かしい気持ちでネットニュースを眺めていた。日曜の昼下がり、少し遅めの昼食を家族で囲みながら母親は「やって! TRY」の惨憺たる料理に眉をひそめ、「中吊り大賞」や「噂の現場」では父親が訳知り顔でくさす、という実に理想的なふれ合いが我が家の恒例となっていた。思えば何事にもひねくれた態度で世の中と接するようになったのは毎週開催されるこの情操教育の成果であり、「噂の現場」で紹介される欠陥住宅や土地にまつわる様々なトラブルは解決の糸口を何ら見出だせずに終わることが大半で、社会の矛盾を眼前に突きつけられたまま淡々と食事を続けるのは何とも重苦しい体験だった。

そのような事情で、当時の記憶を追体験するかのように仙台の限界郊外を好んで訪問しているのは案外楽しんで視聴していた証左なのかもしれないが、今回記事にしたいのは陳腐な郷愁ではなく、実は「噂の現場」が書籍化されており、読んでみたら結構面白かったという話である。

www.huffingtonpost.jp

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名物コーナーが書籍化されていた。出版年は1996年。
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星沼別荘(宮城県大崎市鳴子温泉星沼)

鳴子温泉郷最後の目的地は中山平温泉に隣接する星沼別荘である。国道47号を西進し鳴子峡を通過、その先の大谷川沿いに点在する星沼地区の旅館一帯が中山平温泉である。星沼という地名には義経伝説が絡んでおり、あすか旅館から蛇の湯一帯は元々沼沢地で「黒森ノ渕」と呼ばれる特に大きな沼があったのだが、湖面に映る星々を見た義経一行が鎌倉の星の海になぞらえ「星ノ沼」と名付け、また沼辺に立ち昇る湯の煙を見て「星ノ湯」と呼んだのがその由来という(『鳴子町史』より)。

星沼別荘は中山平温泉がある川沿いではなく山側に造成された別荘地で、これまで紹介してきた鳳鳴平、柏木原と比較すると最大の規模となる。

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中山平温泉の北側に大規模な別荘地が広がっている。
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食事処おふみ(大崎市鳴子温泉鬼首柏木原)

カツ丼がうまかったというそれだけの記事である。柏木原別荘のすぐそばに、黄色い外壁が特徴のやってるのかやってないのか絶妙に分かりづらい食堂がある。実のところ訪問するまで既に潰れているんだろうと勝手に決めつけていたのだが、先客に勇気づけられ入店してみた。

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別荘のすぐそばに「食事処おふみ」はある。

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柏木原別荘(大崎市鳴子温泉鬼首柏木原)

個人的な思い出話しなのだが以前私は秋田の由利本荘市に住んでいたことがあって、ひたすらのどかな町をそれなりに気に入っていた。のんびりした生活を続けながら観光スポットと称される地もほとんど踏破し、だんだん飽きてくる。そのうち週末は県外へ繰り出すようになり、宮城にもよく足を伸ばしていた。金曜の夜仕事が終わった後に車を走らせ、矢島、鳥海、院内、秋の宮と国道108号線をひたすら南東へと進むとやがて最大の難所鬼首峠が立ちはだかる。鳴子ダム沿いを通るこの峠道はダイナミックな風景が随所に広がる景勝地としても有名なのだが、とにかく狭く細く、曲がりくねっていてなかなか容易ではない。ここを越えさえすれば鳴子から大崎へだだっ広い道が続き、その後仙台のネカフェで夜を過ごす、というのが当時の楽しみだった。

鬼首を通るたびに「柏木原別荘地」という看板が気になっていた。看板が立つ場所は間歇泉がある吹上地区にも鬼首スキー場がある小向原地区にも隣接せず、途絶とまでは言わないがアクセスとしてはずいぶん中途半端で、こんなところは売れずに廃墟だらけだろうなと勝手に思いながら通過していた。その頃は過疎地をネタにブログを書くようになるとは思ってもいなかったのだが、実のところ柏木原別荘地は理想ともいえる環境が整っており、推奨すべきポイントも合わせて紹介していこうと思う。

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この枝状の区画が柏木原別荘地。
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鳳鳴平別荘(大崎市鳴子温泉入沢・沼井)その2

前回に引き続き今回も鳳鳴平をご紹介する。本当は一つの記事にまとめようと思っていたのだが、私の悪い癖で書いているうちにあれもこれもと脱線を繰り返し、結局何千字にもなってしまうので読みやすさを考えて分割している(ということにしている)。それでも一つの記事には何らかのテーマを持たせようと思っていて、「その1」では鳴子温泉郷に点在する別荘地の紹介を兼ねた導入部と、投げやりな行政の関与、みんな大好き荒れ果てた空き地・空き家と一応まとめてみたつもりである。

鳳鳴平別荘(大崎市鳴子温泉入沢・沼井)その1 - ざっかけないマンガたち

「その2」では鳴子唯一のマンション「鳴子サンハイツ」と鳳鳴平の管理費について、最後にとある廃墟をご紹介していく。鳳鳴平の中心部から見た東西の周縁部がその舞台となる。

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丸で囲んだ東西の箇所が今回の訪問地
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